sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

Ethiopian Great Run 2010

sayakot2010-11-21

エチオピアといえば今でも「裸足のアベべ」を連想される方が多いと思うが、実際今でもエチオピアは、長距離陸上スター選手の宝庫だ。


その一人、ハイレ・ゲブレセラシエは男子マラソンの現世界記録保持者(2時間3分59秒)で、エチオピア人の誰もが知る国民的ヒーロー。つい先日のNYマラソンでは不本意な途中棄権となり、自身のTwitterで一度は引退を表明したものの、その後「多くの人の説得」により、引退宣言を撤回、国民中を安堵させた。


ところでハイレ・ゲブレセラシエには、ランナーとしての顔のほか、実業家としての顔がある。現役ランナーながら、彼はアジスを中心にスポーツセンターや映画館、高級ホテルを多数経営する超セレブ。そして彼だけではなく、エチオピアには他にも複数の有名ランナー達が、ホテル経営等実業の世界に進出し、成功を収めている。個人的に面白いと思うのは、わたしから見るとやや“ちゃっかり”にも見えるこの2足のわらじに、エチオピアの庶民のリアクションがとても肯定的であるということ。エチオピアの長距離ランナー達は、国の誇りであり、英雄であり、立身出世の象徴であり、それゆえに“エチオピアン・ドリーム”の体現者なのだろう。


さて。前置きはここまで。
この日曜日、Great Ethiopian Runに参加した。Great Runは毎年恒例の市民イベントで、事前に登録された計35,000人のランナーが、マスカル広場に集まり、10kmのコースを一斉に出走する。普段はミニバスや乗用車、ロバや通行人でごった返した道路もこのために全て封鎖され、その模様は全国放送。通りは黄色の指定Tシャツを着た35000人のランナー達の気迫と沿道の人々の声援ですごい熱気。外国人ランナーもちょこちょこいたが、大半はエチオピア人。


わたし自身はこうしたレースに参加するのは初めてで、何より2500mの高地アジスで10kmを走りきれるか少々心配だったのだが、実際走ってみて、本当に楽しかった!もっとも「走りきった」といっても、タイムは1時間30分33秒で、ほとんど「早歩き」みたいなものだったけれど。


途中、狭いコースにランナーが溢れ返り、皆歩かざるを得ないシーンがあったのはご愛嬌、地点地点にランナーにエールを送るかのようなライブバンドの演奏あり、エチオピア音楽に合わせたランナーたちの大合唱あり、アパートの5、6階からランナーに水をぶちまけてくれる住人あり、ずいぶん賑やかでお祭り騒ぎなイベントだった。


この大会への出走権は、黄色の公式Tシャツの取得を以て得られる。Tシャツに名を並べる大会の公式スポンサーは、ユニセフ、国連ミレニアム開発目標ファンド、GTZ(ドイツ版JICA)、イギリス大使館エチオピア航空TOYOTAヒルトン等々で、シャツの背中には 「私たちは2015年までに貧困を削減できる “we can end poverty 2015”」と唱った、 国連のミレニアム開発目標の一つが掲げられている。


ところでこのTシャツ、例年30ブル(150円)だったが、今年は一挙に60ブルに値上がりし、更に拍車をかけるように多くの悪質な業者がTシャツを買い占め、100-150ブルで転売するような状況があったそうで、多くの地元の人々が参加を断念したそうだ。例年参加しているSAA事務所のドライバーたちも、今年は諦めると残念そうに言っていた。本来庶民の娯楽であるはずなのに、経済状況によって参加の可否が決まってしまうのは本当に残念なこと。今回走り終わってから、一緒に参加したドイツ人の同僚A 氏と、来年は事務所のスタッフが皆参加できるようにお金を集めようという話をした。SAAオリジナルTシャツを作って皆で参加できたらさぞかし楽しいはず。早くも来年が楽しみだ。もっとも、次回はもうちょっと真面目に事前練習しようと思うけれど。いずれにせよ、今夜は良く眠れそう。