sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

外務副大臣との昼食会にて。

sayakot2011-01-29

松本外務副大臣エチオピアに訪問中とのことで、昨日は副大臣を交えての昼食会@日本大使館に招待いただきました。ご本人に伺うのもナンでしたので、事前に調べた外務省ホームページによれば、今回の副大臣エチオピアでのミッションは、「アフリカ連合AU)委員長と日AU政策協議を行うほか,第18回アフリカ連合AU)閣僚執行理事会に出席し,我が国の対アフリカ外交の具体的な取組を説明するとともに,アフリカ各国の出席者及びエチオピア政府要人と会談を行う」ことだったそうです。


早速話は変わりますが、今回のようなAUの会合に限らず、この国では政治系のイベント事がある際にはしばしば、アジス内の主要道路が突然閉鎖されたり、路上の警察官(青い迷彩服を着て大きな銃を持っているのでなかなか迫力あり)の数がぐっと増えて気まぐれなセキュリティ・チェックに遭遇したり、携帯電話やネットが極端に通じにくくなったりと、いろいろと生活に影響を受けます。ここ数日のオフィスのインターネットの不安定さといったら、仕事にならないくらい。


やや大げさにも思えるけれど、実際95年には今話題のエジプトのムバラク大統領の暗殺未遂事件がここアジスアベバで起きており、そうした意味ではたしかにAUのホスト国として、何か起きれば国家の威信に関わるのでしょう。でもそれならそれで、もっと徹底的に行えばいいのに、そのあたりが緩いのはなんともエチオピア的。例えば同僚A氏の滞在先のホテルでは、ここ数日になって警察官が数人体制で、入口で滞在客の出入りをチェックしているとのこと。しかし彼らはなぜかホテルの駐車場に通じるマイナーな入口側だけに張り付き、道路に面した主要入口の客の出入りについてはノー・ケアだそう。
また、ヒルトンホテルでは敷地に車で入る際には、毎回ガードマンがドアを一度開け、内部の確認をするけれど、特にIDを求められるわけでもなく、トランクを開けられるわけでもなく、「ヒルトンにようこそ」と言われて終了。入口に別途設けられている所持品チェックでは、金属探知機が鳴ってもなりっぱなし、誰も気に留めない有様。
とりあえず、今のこの時期だけは、各国VIPが泊まっているシェラトン近辺に近づくのはやめておいたほうが無難かも。


さて話を戻すと、昼食会は副大臣、大使、公使のほか、JICAエチオピア事務所所長、JICA専門家2名、エチオピア唯一の日本企業である在エチオピアM商事のK社長、すっかり顔馴染みのWFP(国連世界食糧計画)のKさん、青年海外協力隊の若者2名、シニアボランティアの方1名、そしてエチオピア日本人社会の有名人であるプロのエチオピアン・ダンサーBさんなど、計15名ほどのこじんまりした集まりでした。カラリと高く青く晴れ上がった空の下、お刺身や肉じゃが、炊き込みご飯等々、美味しい和食を(またしても)囲み、両国の経済・外交政策の話題から草の根の末端の活動の話まで花が咲き、密度の濃い時間を過ごしました。


話題の一つにあがったのは、エチオピア道路建設や情報インフラ構築に目覚ましい進出を遂げている中国のプレゼンスの高さ(日本人が集まるときのお決まりの話題。でもそれくらい、本当にアフリカでの中国の存在感は大きい)や、日本とエチオピアのつながり―-―例えば1960年にはご結婚まもない現天皇陛下ご夫妻がエチオピアを訪問されていることとか、エチオピア最後の皇帝であるハイレセラシエ皇帝は大変な親日家で、1956 年の訪日の際には日本の戦後復興支援として孤児院への寄付を申し出たこととか(この逆転の関係、今では考えられないけれど、そうした時代もあったのだなあと思うと、エチオピアが何故、今のような最貧国にまで落ちてしまったのか考えさせられてしまう)-等々。


また、何故エチオピアには自転車が少ないのかーーエコだし、燃料を食わないのに何故?ーーという、アジス市内を観察された副大臣からの疑問については、部品の不足、工場の不在、盗難の問題、空気が薄くアップダウンの激しい地形等々の答えがあがりました。この話題、先日出張に出かけた際、畑でとれた農作物を売るために村から7km離れた町まで日々行き来しなければいけない農村女性たちの苦労をこの目で見てきたばかりだったので、個人的にはかなり関心があるトピックでした◎


さて今回の会を通じ気づかされたのは、日本とエチオピアという国家間の関係や、外交・経済政策の対象としてのエチオピアという視点が、自分の中ですっかり抜け落ちてしまったいたなあということ。目の前の草の根プロジェクトに力を注ぐ一方で、そこから一歩引いたマクロな視点も持っておかないと、世の中を動かしている大きな力の流れが分からなくなるなと、気持ちの引き締まる思いがした次第。もっと幅広い視点を持たなければなとそんな決意を新たにした1日でした。


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写真は、1/20-1/25まで出かけた出張のときのもの。
こんなでこぼこの赤い土の続く7kmの道のりを、女性達は歩いて町まで野菜を売りにいきます。こんな田舎の農村でも、現金収入なしには生きていくことのできない人々の生活です。