sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

アフリカっぽい話

sayakot2010-11-10

「アフリカ」で生活している、という話になると、犯罪やら病気やら、なにかと心配されることが多いのだが、(何度も言っているけれど)エチオピアに関していえば治安は決して悪い方ではない。また、マラリアデング熱、黄熱病といった、「いかにも」という病気も、アジスアベバは標高2400mの高地であるゆえに、それらを媒介する蚊がほとんどいないため、その心配は少ない。一方、アフリカの他の国・地域によっては、蚊の活動が活発になる夕方以降には外出を控え、室内では蚊取り線香を常に焚き、夜は蚊帳の中で寝るのが常識、というところもあるそうで、蚊に刺されるたびいちいちそれがマラリア蚊でなかったかと心配しなければいけないような、そうしたストレスがないのは、とても恵まれている、そう思っていた。


それでも、やっぱりここは「アフリカ」だった。。。
始まったのは1ヶ月前。南部への地方出張の最終日に泊まったホテルがまずかった。ベッドに入って数分後、左足が強烈なかゆみに襲われた。みるみるうちに、ダニに噛まれたような跡が十数カ所。出張時には虫除けスプレー、蚊取り線香、そして日本から持って来た、キャンプ用の防虫繊維でできた寝袋を常備しているのだけど、そのホテルはそのエリアでは「中の上」程度のランクで(1泊1000円くらいでしたが)、見た目もそこそこ小綺麗に見えたのもあって、完全に油断した。すぐに虫除けスプレーを噴射して、蚊取り線香を焚き、防虫寝袋に移ったのだけれど、とき既に遅し。その日はかゆくてまったく眠れず。翌朝チェックアウトの際---クレームなんて人生でほとんどしたことないのだが---深夜の格闘からきた寝不足のせいもあり思わずレセプションに、絶対にベッドに虫がいると思う、改善しないと次はもう泊まらないよと文句を言ってしまう。


ホテルさえ出ればなんとかなる、そう期待したのは大違い。帰りの車中でも刺された箇所がどんどん増えていく。足だけのはずが徐々に上昇し、腰にお腹にと広がっていく。帰宅後、速攻着ていた服をすべて洗い、シーツや枕カバーも一緒に洗濯し、太陽の下で干したのだけれど、次の日もその次の日も数カ所ずつ新しい噛み跡が出没する。以前着任直後に、日本人の専門家の方にもらったかゆみ止めムヒEXのチューブが日に日に小さくなっていくのが心細く、また、毎晩衣服のアイロン熱消毒や、大鍋での煮沸消毒を試みたけれども、見えない敵との戦いは、成果がまるで見えてこない。もはや部屋のクローゼットもベッドのマットレスも、愛犬達もすべてが疑わしく思われて、疑心暗鬼。古くなった噛み跡は薄黒い跡になっていく。顔、腕を含む上半身に症状がでないのは本当に不幸中の幸いだった。


不思議な事に、現地人なら対処法を知っているだろうとエチオピア人の友人にアドバイスを求めたら、そもそもこうした虫刺され自体、まるでぴんとこないようで、ずいぶん蚊に刺されたのね〜という反応。いやいや、露出したところは刺されていないし、蚊取り線香もしているのだから、絶対に蚊ではないと言っても、じゃあ何なの???という様子。どうもこの敵は、外人の目新しい血が好きなよう。


2週間後、一向に改善しないまま、知人のドクターにご紹介いただいたアジスアベバの皮膚科専門クリニックへ。知的で上品そうな初老のR女医は、ハンセン病の病院のディレクターでもあるそうで、わたしがSAAで働いていると知ると、ずいぶんエキサイトしてくれた。SAAの最大ドナーである日本財団の笹川会長はハンセン病撲滅の支援も長くエチオピアで行ってきたからだ。R女医はわたしの無惨な肌を診るなり、あらひどい、きっとノミね。かわいそうだけど、ノミがあなたの血に飽きるまでは完全に取り除くのは無理だと思うわよ、とだけあっさり言って、かゆみ止めの薬を処方してくれた。


R女医の薬は、確かにムヒEXよりも深いところで効いている感じがし、実際、かゆみを抑えるという意味では魔法のような効果を発揮したが、新たな噛み跡出現の抑制にはなんの効果もない。そもそも、日々衣服のアイロン熱消毒と煮沸消毒を行って、室内では日本から届いたバルサンもダニアースも試しているのに何の効果もないということは、本当に衣服やベッドに住み着いた虫なのか、どうも疑わしくなってくる。


そして更に数日。かゆいかゆいと嘆き回っているのも情けなく、嘆いたところで「所詮」虫さされなので、オフィスの他の同僚にはあまり口にしていなかったのだが、ある日たまたまドイツ人の同僚A氏にぼやいたところ、僕もアマゾンでやられてねえ、あれは本当にしつこかったよ、との返答。一見繊細そうなのに実はサバイバル経験豊富なA氏を困らせたのは、皮膚の下に寄生するダニだそうで、彼はどこで聞いたのか、全身に分厚く石けんを塗りたくり、皮膚の下の虫を窒息させることで退治したのだそうだ。その夜、わたしも早速試そうと思って意気揚々と帰宅したのだが、アマゾンと違い、アジスの夜はとても寒い。結局、石けんを塗りたくった体で虫が窒息するのを待つ忍耐のなさゆえに、試す機会を数日逸したのだが、先日、ようやく実行できた。


石けん1個を丸まる使い果たすほどに全身に塗りたくった上に、小さなボディーソープ一瓶を更に塗りつけ、念には念をとその日はそのまま流さずに布団に入ってしまう。泡まみれになって気持ちわるいかと思いきや、現在乾季のアジスでは、泡が水分と共にあっという間に乾いてしまう上、むしろ石けんが薬のように体に浸透して虫を退治してくれるような気さえして、いい気分。翌朝、よくよく洗い流し、様子を見る。最初の2日間は、これまでのかゆみのぶり返しがあり、ああダメだったかなと思ったのだが、3日目、4日目の今、気づいたら今のところ完全に収まっている。こんなに穏やかな夜は本当に久しぶり。。。と、もうすっかり、波は収まったと安心しかけているのだが、さてこれからどうなるか。。。


って、こんな文章読んだら、読むだけでかゆくなりそうですね。。。
万が一痒くなったら、アマゾン式に分厚く石けんを塗ってみることをおススメします♪


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写真は、地方出張のときのもの。
道の脇に咲いている黄色の花は、エチオピア唯一という、マスカル・フラワー。