sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

The Day of Election

sayakot2007-05-14

朝、ルームメイトと共に、近所の投票所に散歩に行く。Ateneoキャンパスのすぐ隣に位置する、Miliam Collegeだ。


途中、たくさんの子供達に大量のチラシを手渡される。「Sample Ballot」といい、要は投票用紙の「記入例」を配っているのだが、日本のそれとは大きな違いがある。その例として挙げられている人物は、全て実在の候補者。
要は、この子供達は、特定の候補者(あるいは政党)に雇われていて、そのチラシに書いてある通りに書けば、その候補者の名前が書かれることになるという仕組み。


選挙当日のPRキャンペーンは一切禁止なはずなのだが、こういうことは許されてしまうらしい。みるみるうちに、各候補者が思考を凝らした「Sample Ballot」が両手いっぱいに溜まっていく。お金がなければ選挙に勝てない、フィリピン政治の一コマ?


被選挙者は、登録された特定の投票地域の、特定のセクションで投票を行う。
投票用紙を受け取るためには、一応、指紋とIDによる厳密な身元確認があるのだが、実際に記入する投票所は、私のような外国人ですら出入り自由。さらに驚いたことに、記入する際に、「ついたて」のようなプライバシーを守るものが一切ない。


これだけ選挙をめぐる暴力や不正がとりだたされている中で――つい先ほども、TVで「候補者の民兵が、地元住民を脅して名前を書かせた」のような報道を耳にしたばかりなのに――こののんびりした不思議な混沌はなんだろう。投票所は人々でごった返し、選挙監視ボランティア達も、サンドイッチを食べていたり、暑さに耐え切れず、団扇であおいでいたり、厳かな雰囲気とは程遠い。


16時、今度は選挙監視団体のガイドの下で、票数をカウントするプロセスを見学に行く。行き先は、マニラ有数の極貧コミュニティTatalong地区と、マニラ有数の富裕コミュニティであるwhite Plainsという対極の2ヶ所。


Tatalong地区の投票所は、公立小学校。すでに開票作業が進んでいた。それぞれの教室で、開票して読み上げる役割と、それを黒板に張られた模造紙に記入していく役割に分担されている。教室の中までは入れないが、教室の外からの写真の撮影は問題がなく、窓から開票作業中の候補者の得票状況を覗くこともできる。


校庭では子供達が走り回り、大人は日陰で涼んでいる。貧しいエリアの子供達だということは一目でわかるが、皆、無邪気に駆け寄ってきては、写真を撮ってほしいとせがんでくる。この地域まで外国人が来ることはほとんどないのだろう。


かたや、富裕地域のWhite Plainsでは、投票所に入るどころか、地区に入るのにすら厳重なチェックがあり、結局40分近く待たされる。近くに新設された高級スポーツジムの広告、立ち並ぶ大豪邸、庭先で昼寝しているゴールデンレトリバー


ようやく通された開票所は、コミュニティのバスケットボールコート。ある候補者から差し入れられた食事を食べながら、皆熱心に開票作業を進めている。相変わらず、一人が口頭で読み上げ、一人が紙に記入していく役割分担は同じだが、こちらの様子は、一切写真撮影禁止。


帰り、タクシーを待つこと30分。21時、ようやく帰宅。