sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

sayakot2007-04-17

驚かされたのは、Speaking & Listeningの授業。「いかに大学の講義(英語)についていくか」をテーマに、実際に講義のテープを聴いてノートをとり、整理する。その後、講義の内容に関する簡単なクイズが与えられ、自分が講義内容のポイントを正確に捉えていたかどうかを確認する流れ。講義概要を理解すること自体は難しい作業ではないが、自分がどこまで正確かつ構造的に内容を把握出来ているのか、突き詰めてみるのは意外に緊張感高く、面白かった。このスキルなしには、漠然とした理解は可能でも、他の事柄との比較や関連付け、批判は難しいだろう。


さて、最近仲のいいMについて。その大きな目とウェービーな髪、華奢な体からはまったく想像できない彼女の経歴。とある北欧のNGOでトレーニングを受けた後、アフリカにマラウイ渡り、現地のコミュニティで現地の言葉を話しながら学校を建てたり、トイレを作ったり、女性達に裁縫を教えたりしていたそうだ。見せてくれた写真にはどれも、彼女と彼女を囲む現地の子供達や女性達の笑顔が溢れている。ある時は、山賊に遭い、仲間が石や棍棒で殴られ、自分も突き飛ばされて荷物を奪われたことをけ事もなげに話すのもまた彼女の強烈なところ。


夜、Esthi、M、Yとお茶を囲む。前か気になっていた、この寮で多数働いている、献身的なフィリピン人のスタッフ達の話を持ち出してみる。年齢が自分達とほとんど変わらない(むしろ高校生くらいの年齢に見えるスタッフもいる)にも関わらず、かたやメイドやボーイのようにサーブする側と、完全に彼らを「使う」側になっている自分達や他のリッチなフィリピン人子弟達の側と、そこにあるawkwardな感覚を、同じく東南アジア出身の彼女がどのように感じているのか知りたかったのだ。

Esthiもその点は同感のようだが、更に彼女が続けたのは、インドネシアにはフィリピン同様、国外に出稼ぎにいく労働者は多数存在するが、市場価値としては、フィリピン人労働者と比べ、より低い位置づけにあるということ。フィリピン人労働者は英語を話し、場合によっては法律や医学の知識等の専門性を身につけている者が多いため、厚遇されることが多いが、かたやインドネシア人労働者は、英語も話せず、教育を受けていない最貧層が多く、悪質なエージェントに過酷な労働条件でアラブ地域やその他世界各国に、行き先もほとんど知らされないまま散らばっていくケースが多いのだそうだ。そして最近は、出稼ぎ先の厳格なイスラム国においてトラブルに巻き込まれ、死刑を宣告されるケースが多発し、問題になっているとのこと。


彼女の話は、このissueが、個人の尊厳に関するレベルの問題でも、国内の教育や経済活動を巻き込んだ格差の問題だけでもなく、国境を越えた南南・南北の問題も内包するダイナミックなものであることを示している。よく言われているように、幸か不幸か、日本人は今まで、こういったリアルな切迫感を感じることなく生きてきた。だがいつか大きな何かに直面することになる気がしてならない。