sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

出会い ver.1

sayakot2007-07-28

名前をそのまま表したような知的な清々しさと、心の底から湧き上がる情熱、そして本質を鋭く見極める、意思ある眼差し。


Rさんは現在、UNICEF(国連児童基金)にて、フィリピンのストリースチルドレンなど子供の権利の保護の領域を中心に活動されている。
例えばそれは、フィリピン政府との政策レベルでの連携と、最貧困エリアにて実際にプログラムのインプリメントを行う草の根NGOとの連携。そして同様の領域で活動する他の国際機関と、資金や雇用機会の提供といったレベルで協業し得る民間企業への働きかけ。


様々なレベルで網の目のようにはりめぐらされる無数の主体の間を、包括的な視点で縦横無尽に行き来するその身軽さは、国連につきまとう、官僚的でネガティブな性質のものよりも、超国家組織としてのダイナミックなスケール感を感じさせた。


国際協力を志す多くの人間にとって、「国連」は、ある種「羨望」の組織である。
その巨大に膨れ上がった官僚的な組織風土や、エリート気質、そして政治的なしがらみに伴う影響力の限界に、国連批判をする人間は沢山いるが、一方で、無私な自己犠牲をどこか要求されがちなこの世界において、社会からの一定の地位と名誉を約束できる数少ない組織でもある。


だが、彼女にとっては、国連さえも、自らのみなぎる意思を表現する無数の可能性の中の、一つのステージでしかないのかもしれない。
そして、カナダでの高校時代に培われた社会格差に対する問題意識と、「食うか食われるか」の外資投資銀行での経験と、アメリカの大学院での国際教育政策分野におけるアカデミックな経験と、政府系援助機関での経験と――。これら一見ばらばらに見えるあらゆる要素が、「自分が社会に対して生み出すことのできる価値」と言う信念の中で紡ぎ合わされ、一筋の道を築いてきたように、今の彼女の目線の先が、近年、先進国を中心に生まれつつある「ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会性が高い民間領域での起業家精神)」の領域にあることは、この新たなトレンドが秘めるポテンシャルの大きさをそのまま示しており、また、ここで新たなチャレンジを試みる多くのワカモノ(おじさん、おばさんでももちろん良いのですけれど)にとって、何より心強い支えになるに違いない。


どのような領域であれ、どのようなレベルであれ、「自分が社会に生み出すことのできる価値」に対して、とことんまっすぐに、そして時に貪欲に生きていくこと。要はそれが人の生き方のかっこよさ、すがすがしさを決めるのかも知れない。



そういえば、今年のハーバードの卒業式でビル・ゲイツも、こんな言葉でスピーチをしめくくっていた。


"I hope you will judge yourselves not on your professional accomplishments alone, but also on how well you have addressed the world’s deepest inequities … on how well you treated people a world away who have nothing in common with you but their humanity. Good luck.(わたしは、あなた達が将来、自身をこのような判断で評価することを願っています。それは、職業的なキャリアで何を達成したかだけではなく、この世界に深く根を下ろした不平等―人道という以外に、あなた自身にはまったく関係ない人々課せられた不平等―に対し、どれだけ注意を向け、取り組むことが出来たか、です。幸運を祈ります。)"


世界中のbest & brightestが結集したこの特別な場所で、今まさに始まろうとしている輝かしいキャリアの世界にワカモノ達を送り出す、この特別なイベントで、いわばその世界でもっとも成功したビル・ゲイツという人間が、この言葉を残した意味。今改めて、考えてみたい。