sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

ウガンダ出張いろいろ(前編)

sayakot2012-05-13

2度目のウガンダ出張から帰ってきました。ほとんどホテル併設の会議室にこもりきりだった前回の出張とは違い、今回は地方に少し足を伸ばしたり、現地で活躍する日本人との出会いにも恵まれ、思いがけず彩りのある1週間に。


1日目:5/7 (月)・出発:10:55AMアジスアベバ発 (13:05 エンテベ着)
・SAAウガンダ事務所で滞在中のスケジュールに関する打ち合わせ
・JICAウガンダ事務所への挨拶


エチオピア-ウガンダ間はエチオピア航空の直行便がある。飛行時間は約2時間。時差はない。エチオピア航空というとずいぶんマイナーな印象を受けるかもしれないが、実はANAと同じStar Allianceのメンバーで(昨年末加入したばかりだが)、アフリカ系航空会社のエースといえる。ウガンダ唯一の国際空港であるエンテベ空港には、黄色のSAAキャップをかぶった事務所のドライバーが迎えにきてくれる。渋滞に巻き込まれなければ、首都カンパラまでは車で約1時間。夜は一人、ホテルの野外レストランにて、ウガンダでメジャーなビールNile Specialとペッパーステーキ。


2日目:5/8 (火)
・ 日帰りで、Bugiri(カンパラから東へ約130km)とPallisa(更に北へ70km)の農業組合を視察。


Bugiriの農協では、SAAの農産加工・収穫後処理事業チームが3ヶ月前にセッティングした、改良貯蔵庫の比較実験結果を、現地の農民達と観察。要は改良貯蔵庫の中身を3ヶ月ぶりに農民と一緒に開けてみて、中に保存されていた穀物(とうもろこし)の状況を確認するのだ。伝統的な貯蔵方法では3ヶ月も経つと虫喰いがひどくなって穀物が傷み出し、質にも量にも影響が及ぶのが問題となっていて、実際、こちらの穀物はざっとコップ一杯に取り出しただけで、何匹もの虫が奥底から這い出てくる(右写真参照。黒っぽいのが虫)。農民達の中にはそれを防ぐために穀物に直接殺虫剤をかけてしまう者もいるようで、知られないところで消費者の健康に悪影響を与えている。怖い話である。



一方で、SAAが現在普及を試みている改良貯蔵袋からは、虫は一匹も検出されなかった。「改良」といっても、それほど大げさなテクノロジーではなく、現地でも一般的な大型の水タンクを改造し、気密性が高くきちんと「密封」できるところが特徴。そうすることで内部の虫が時間と共に自然と窒息死するのだ。歴然とした結果の違いに驚いた興味津々の農民達からは、「一体どんな殺虫剤をまいたのか」と質問があがるが、答えは「None」である。農協の代表者たちは、すぐさま購入したいと手をあげた。



私たちSAAは、こうした改良技術を、農民達の住んでいるエリアでデモンストレーションすることで、効果を実際に農民達の目で確認してもらうことを大事にしている。ポイントはそこで無料配布するのではなく、効果を感じた農民達に購入してもらうこと。購入に係る販売企業とのやりとりや輸送等はSAAがファシリテートする。もちろん、全ての小農民に手に入るわけではないけれど、農協などを対象にすることで、間接的にでも末端にサービスが届くことになる。安易な無料配布は、現地アグリビジネス企業の地域への進出の可能性を妨げるし、農民達の依存心を強めてしまう。もしそこにビジネスチャンスを感じた企業が進出するようになれば、やがてより安価なサービスが末端まで届くようになることが期待できる。


移動の途中、路上で購入した鶏モモの串焼きのあまりの美味しさにビックリ。特別な味つけもない、ただ炭火で焼いただけのシンプルな代物なのだが、「最後にこんなに美味しい鶏肉を食べたのはいつだったかな」と(少なくともエチオピアでは経験がない)思わず記憶をたぐりよせてしまう程、感動的な味。

後日お会いしたウガンダの在留邦人の方も、「鶏肉と果物は、(ウガンダは)日本以上です」と断言されていたが、本当にその通りかも。


3日目:5/9 (水)
・ 日帰りで、Zirobuweの農業組合へ。


SAAの支援しているZirobwe (カンパラから約50km北)の農業組合へヒアリング。また、当地のSeed Bankでアクティブに活動をしている青年海外協力隊のSさんにインタビュー。Seed bankは良質の種をシーズン前に農民に貸し出し、収穫後に倍にして返してもらうことで運営されている。返済率は80%とか。SAAではSさんのような協力隊員を常に3-4名受け入れている。


夕方、Sさんのお誘いを受けてJICAのシニアボランティアでいらしているHさんご夫妻宅へ。初対面の、しかも突然の訪問にも関わらず大変温かく迎えて頂く。Hさんはカンパラで擁護学校の先生をされているそうで、ウガンダにおける障害児教育の問題についてお話を伺うことができた。エチオピアでもそうだが、途上国では町や村で障害児に出会う機会が極端に少ないように思う。目にする大人の障害者は大抵ホームレスである。圧倒的に施設が足りず、また障害児教育への意識が低いために皆、家の外を出ないものらしい。


Hご夫妻のご自宅は、協力隊員たちの憩いの場になっているそうで、「アフリカの父・母」と言われている理由も多いに納得。いただいた夕食メニューはビーフシチュー、ベトナム風ハンバーグ、生春巻、海藻サラダ、白米。デザートはちょうど旬の完熟マンゴーとパイナップルが添えられたバニラアイスクリーム。お土産に素敵な折り紙の飾り物までいただいた。 ウガンダにて思いがけず日本の家庭の雰囲気を味わい、大いに癒された夜。


ところでウガンダは「アフリカの真珠」と呼ばれる程、水と緑が豊かな国。治安も良いし、イギリスの植民地だった影響で、きれいな英語を話す人も多い。また、野生のサイやゴリラ、シマウマやキリンが間近で見られるサンクチュアリなどもあり、英語があまり通じず半乾燥地域であるエチオピアに住む身としてはうらやましい点が多々あるのだが、ウガンダウガンダで、エチオピアに比べて文化遺産が乏しかったり、ケニアタンザニアに比べると「目玉級」の野生動物がいなかったりと、「隣の芝生は青い」的な状況は同じ模様。


以下、後編へ。。。


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トップの写真は、フェンス越しに改善貯蔵庫のデモンストレーションの様子を伺う子どもたち。