sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

ガーナ滞在記その1. 〜世界の中のNGOとして編〜

sayakot2010-09-11

9/1〜9/11まで、ガーナに行ってきました。アジスアベバから、エチオピア航空アジスアベバからナイジェリアのアブジャを経由して約7時間。


9/1-9/4は、首都アクラにて、AGRA(Alliance For Green Revolution in Africa)主催の「アフリカ緑の革命フォーラム」に出席。


実は、アフリカにおける農業分野での“革命”というコンセプトは、過去25年間、SAAが、アジアにおける緑の革命の「父」とも言えるボーローグ博士と共に、地道に提唱し続けてきたこと。しかし現実には、それが国際的に大きなうねりになることは、つい最近までなかった。その背景には、「工業化の推進こそ貧困脱却への唯一の手段」という神話が、数年前まで世銀や国連、先進国援助機関を支配し、アフリカ人々の大多数を占める小農民の日々の生活に関わる農業分野の援助/開発が置き去りにされてきたということがある。それが今世紀に入り、世界的な経済危機と穀物価格の高騰による食糧危機を受け、アフリカにおける食糧問題の深刻さ、そしてそれがその国の社会的・経済的発展に及ぼす影響がより明らかになる中で、次第に「アフリカにおける緑の革命」という考え方が注目されるようになったのだ。


今回のフォーラムの主催団体であるAGRAは、2006年、ビル&メリンダ財団とロッカーフェラー財団による共同イニシアティブによって生まれた組織で、その代表を前国連事務総長のコフィ・アナン氏が務める。400億円近い予算規模を持ち、小農民の改良種子やマーケットへのアクセス向上や土壌保全、官民連携、教育などの領域で、アフリカ14カ国の様々な農業関連プロジェクトを支援し、この領域で非常に大きな存在感を持っている。


そんなAGRAの主催するフォーラムなので、出席者も華やか。コフィ・アナン氏を筆頭に、ロッカーフェラー財団代表、ビル・ゲイツ財団関係者、ガーナ副大統領、タンザニア首相、ナイジェリア元大統領、アフリカ諸国の現役の農業大臣、肥料や種子の企業やアフリカ開発銀行の代表、国際農業研究センター、アメリカやドイツの政府開発援助機関etc…、プライベートセクターからパブリックセクターまで、多様な顔ぶれ。恐らく全部で6百名くらい。


さて、手前ミソだけれども、今回個人的に強烈だったのは、この規模のフォーラムで、SAAの名前が、JICAを含む日本の援助機関やNGOの中で唯一、複数の講演者から「緑の革命の先駆者」として繰り返し挙げられたこと。


それは、1)アフリカが自分たちの食糧を自分たちで作れるようになる事など不可能だと誰もが思っていた時代に、その実現を信じて疑わなかったボーローグ博士の執念に近い情熱、2)それを全面的に支援し続けた日本財団の笹川会長の信念、3)活動を末端の現場で終わらせるのではなく、常に現地政府首脳とタッグを組んで事業を展開し、スケールアップを行ってきた組織戦略、4)そして近年、ビル・ゲイツ財団、AGRA、ほか国連機関などの新たなビッグ・ドナー獲得のため積極的な広報、ファンドレイジング活動を行っていることによるものではないかと思った。


もちろんそれは、理解あるドナーに恵まれ、資金基盤が比較的安定したNGOならではの自由さとその特殊さによるものでもあることはそうなのだけれど、日本の援助機関も、日本という枠を越え、アフリカ、そして世界を見据えた舞台で、組織として影響力・発言力を高めていくことが求められているのではないかとそんな気がしたフォーラム体験でした。


○○○
写真は、フォーラムでボーローグ・メダルを受賞するアナン氏。


2日目のレセプションディナーでは、旧大統領公邸でアナン氏のテーブルのすぐ隣テーブルで食事。小柄だけれども威厳ある雰囲気を持った方ですが、スピーチでは豚クンと鶏さんを主人公にした緑の革命をめぐるお茶目な小話を披露され、会場が沸きました。