sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

コスタリカ/フィリピンの共通点。

sayakot2008-03-20

今週のフィリピンは、「聖週間(Holy Week)」。
街の様子が、いつもと何だか違う。


聖週間は、復活祭(イースター)前の一週間のことで、イエスの受難、死、そして復活に関連した、聖書の朗読や、祈り、聖歌等のイベントが全国各地の教会で行われる。裸足での巡礼の他、ルソン島パンパンガ州のある町では、信者が、実際に手のひらに釘を打ち付ける磔(はりつけ)の苦行を行うところもある、との
すごい話も耳にした。


カトリック教徒の多いフィリピンにおいて、聖週間は、いわば「お盆」のような位置づけで、この時期は学校やオフィスも一斉にお休みとなる。人々はそれぞれの田舎に帰ったり、地方のリゾートに出かけたり、家族や親戚と束の間の休暇を楽しむのである。一方、大都会マニラでは、今週木曜から土曜までの3日間、電車が止まり、車やジプニーの交通量も一気に減る。ショッピングモールやスーパーなども多くがシャッターを下ろすため、都市全体が、完全に静まり返る感じだ。いつもはエンジンとクラクション音が終日響き渡っている我が家の前のカティプナン通りも、今日はとても静かだ。


日本人にはあまりピンとこないこの“Holy Week”だが、国連平和大学の本キャンパスのあるコスタリカもまた、実は今ちょうど、“Semana Santa(聖週間)”で、国中が祝日モードだ。そういえば、ホストファミリーからもつい最近、「聖週間は家族で山小屋でゆっくり過ごす予定だ」というメールが届いていた。


アジアと中米の、一見、何の関係性もないこの2つの国は、スペインの影響が今なお人々の生活に色濃く残る国として、意外な共通点を見つけることができる。コスタリカから帰ってきてから、ますます顕著に感じられるようになったことだが、フィリピンにおけるスペイン統治時代の影響は、今更ながら無視できないものがある。今でこそ、アメリカの文化的影響が目に付くフィリピンだが、聖週間のような宗教的行事に始まり、例えば人々のラストネームや、タガログ語の語彙などに反映されるスペイン時代の影響は、おそらく表面に見えている以上に、そしてフィリピン人自身が意識している以上に、深く社会に根づいているのかもしれない。そしてきっと現代のスペイン人のほとんどは、自分たちの祖先が、かつてアジアのこの貧しい島国に及ぼした影響など、きっと想像もしたことがないに違いない。


自身の意識とはほとんど無縁のところで、自分たちの社会や国家が、世界のどこかのまったく知らないコミュニティに与えているかもしれないインパクトの大きさと、そこで育まれる人々の営みの深さとに、ついつい想いを馳せずにはいられない――、そんな聖週間の静かな夜でした。


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写真は、マニラ大聖堂。
第二次世界大戦で破壊されたものを、1958年に再建したもの。