sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

コロン町住宅事情

sayakot2007-09-30

コロン町のホセ・マリア邸に居候生活を始めてから6週間。
ありがたいことに大きな問題もなく、順調に生活している。


部屋がちょっと狭い(6畳くらい?)とか、6才のダニエルが平日/週末関係なく
朝6時から元気に駆け回る音とその振動が部屋にツツ抜けであるとか、トイレを流すことをなかなか覚えてくれない(トレーニング中?)とか、机とベッドにいつも蟻がいるとか、そんなコトをあげればキリがナイ。
それでも、電気・水道・無線LAN・朝夕の食事と・週1回の洗濯と掃除込みで$250/月は、コスタリカの物価感をもってしてもやはり安いように思うし、何より、ホセとマリアの情愛深い人柄に触れると、この家に当たって幸運だったなとしみじみ思う。


ホストマザーのマリアとは、彼女が同じ女性であるということと、英語が少し話せることもあって、最初から比較的簡単に、ある程度の関係性を築くことができたような気がするが、その両方が当てはまらないホセとは、正直いまだに若干のハードルがある。
彼も内心、このスペイン語のなかなか上達しないアジア人娘に苦戦しているに違いない。それでも彼は、そんな葛藤を微塵に見せることがない。わたしに家族の一員として居心地よく住んでもらいたい、そんな気遣いがひしひしと感じられる。


わたしが話をどこまで理解しているかも定かでないのに、彼は日々の出来事を必ずアップデートしてくれるし、時にはどこかで覚えてきた「暑い」とか「新聞」とかそういった英単語を、これで本当に意味が通じるのかい、とばかりに試してくる。
また、学校から帰れば必ず、スナックと共にコーヒーを入れてくれるし、友人が来たときには、一緒に夕食を食べていきなよと
用意してくれることも。
“あなたの友達は、わたしたちの友達だから。”そんな言葉を、何のいやらしさもなく言うことのできる彼は、やはり素敵だと思う。



とはいえ、大学では今、ちょっとした引越しブームが起きている。部屋がカビくさい、狭い、お湯が出ない、ベッドに虫がいる、
無線LANと聞いていたのに実際はダイヤルアップだった、近所の騒音がひどい、etc...理由は様々。こういう時、清潔で広くて
快適な空間に慣れている欧米系の学生は、特に動きが早い。友人同士のネットワークや、スーパーの張り紙、タクシー運転手の口コミ等、あらゆる情報を駆使して、2、3日もすると、もう新しい場所に引っ越していたりする。その行動力には、脱帽。


ちなみに、大学にも学生のハウジングを手伝ってくれる部署があり、特に最初のマッチング時は、現地事情をよく知る担当者が、学生に代わって、交渉や契約を行ってくれる。ただし実際に住み始めてからの契約内容の変更については、学生と大家さんの直接の交渉が基本だ(言語の問題や複雑な問題が絡んだ場合には、大学側が介入してくれる)。


ここで、ハウジング担当のFinaがわたし達に口を酸っぱくして繰り返し強調することは、


――コスタリカは、人と人との信頼関係で生活が成り立っている、イージーゴーイングラテンアメリカだということを忘れないでちょうだいね。『お金を払っているのは自分なのだから、私には当然●●の権利がある』そんな、一方的な“権利の主張”はしないこと。不満があったなら、機械的に「契約終了」を通告する前に、一度しっかり話し合ってみて頂戴。つまらないミスコミュニケーションの問題かもしれないのだから。あなた達にはたしかに権利はある、だけど、彼らの文化や価値観に対する理解とリスペクトを決して忘れないでね――


国連平和大学のほとんどの学生が生活しているコロン町。学生の支払う家賃が、大きな収入源になっている家庭が多く、予定外の契約解消時には、わだかまりが生じてしまうことも少なくない。実際、より条件の良い物件を見つけたからという理由で、「最低1ヶ月」という契約さえ無視して入居後1週間で出ていってしまった学生や、入居の意思の有無を●●日以内に返事をすると約束しておきながら、そのまま音信不通になる学生など、Finaの頭痛の種は尽きない。


匿名性の高い社会で通用するルールも、この小さなコミュニティではうまく機能しないことがある。そして、その逆もしかり。
近所の人に挨拶をしたりとか、道のゴミを拾ったりとか、そんな少し気恥ずかしい緊張感がちょっぴり新鮮で心地よい今日この頃。良くもワルくも、一つひとつのささやかなことに、結果が一人ひとりの顔が見える形で返ってくる、それが理由だろうか。



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写真は、初公開のmy room.