sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

Pray for rain  

sayakot2007-08-08

ルソン島の雨不足が、深刻になっている。
たしかに、「雨季」が始まってから今まで、熱帯を思わせる大雨には殆ど出くわしていない。特に最近は、1日に1回1時間弱、遠慮がちに降るだけで(全く降らない日も結構ある)、終日降ったり、連日降ったりということがほとんどない。
農作物被害や電力不足などの影響は、日本以上に、人々の日々の生活にダイレクトな影響をもたらすため、事態はかなり深刻。


実はすでに軍隊と民間航空機による人工降雨作戦が始動しており、「航空機から雨雲に化学薬品を散布して、人工的に雨を降らせる」試みが、一部地域にて1日2回実施されているとのこと。だが事態は広範囲に及んでおり、莫大なコストがかることは目に見えている。(まにら新聞より)


"困ったときの、神頼み―"
先週から、マニラ市内の約150のカトリック系教会で、一斉に「雨乞いの祈り」が始まった。「人工降雨作戦は一つの手段。根本的な現状打開には神の介入が必要」というわけだ。フィリピンでは、自然災害や政治上の非常事態の際に、教会主導の大々的な「神頼み」がしばしば行われる。いかにも、カトリック教徒が大多数を占めるこの国らしい。


実は先週の日曜日、実際にグリーンヒルズにある教会のミサに潜入してきた。通常のミサの終了後、枢機卿が神の介入を祈るメッセージを読み上げるのだが、スクリーン上に同じ内容が投影されるため、人々も一緒になって声を合わせることができる。Tシャツにビーチサンダルのカジュアルな若者たちや、おめかしをした小さい子供連れの夫婦、年老いた老夫婦など、様々なバックグラウンドの人々が、ある種の国家的な危機に対し、一心に祈りを捧げる光景は、心地の良い不思議な一体感を醸成していた。国民国家としての歴史の浅いこの国では、宗教が人々の意識を束ねる重大な役割を果たしていることは間違いない。



だが、それに属さない人々の行き場所は、どこか別の場所に保障されているのだろうか。


近年、マニラにおけるイスラム教徒の人口が少しずつ増加傾向にある。ミンダナオの紛争から逃れてきたイスラム教徒とはべつに、貧困層カトリック教徒が改宗するケースが増えているのだとか。その背景の一つに、改宗した際にイスラム団体から支給される10,000P(約2万5千円)の生活支援金の存在があると言われ、一部のカトリック教会から批判が高まっている。


マニラ市内のマーケットを歩くと、ベールをかぶったイスラムの女性による小さな屋台やミニ商店に出会うことがあるが、それらも、この1万ペソを元手に始まったモノである場合が結構多いのだそうだ。(もちろん、純粋な信条ベースでの改宗もあるだろうが)日々を生き延びるための「生活」をとるか、良くも悪くもこの国のマジョリティを占める「共同体」への帰属意識をとるか、彼女たちはかつてそんな葛藤に直面したのだろうかと、ふと思う。



■■■
写真は、パヤタスの子供たち。