sayakotの日記

コスタリカ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エチオピアで、勉強したり旅したり働いたりしていた当時20-30代女子のブログ。

The Scent of Coffee

sayakot2007-06-20

例外にもれず、マニラには外資系コーヒーショップ・チェーンがひしめいている。


どの街にいても、少し歩けばスターバックスシアトルズベストコーヒーなどに出会う。1日たりともコーヒーの欠かせないわたしのようなcoffee-addictedには大変ありがたい話。


とはいえ、物価の安いフィリピンにおいて、こういったチェーンのコーヒーは、かなりの「高級品」。
シンプルな普通のコーヒーで大体100P(約250円)弱、サイズやフレーバーによっては200P(約500円)を超える商品も。わたしの普段の昼食の予算が約70P、夕食の予算が100Pであることをまともに考慮すると、たじろいでしまう(べき)金額。


というわけで、普段のコーヒーは、サリサリ(キオスクみたいなもの)や、地元の人でにぎわうような食堂から調達することにしている。約10P(25円)を払うと、熱湯が淵ギリギリまで入れられたカップネスカフェの粉が渡される。発泡スチロールのようなカップの質感と、周囲にこぼれてしまった微量の茶色い粉を見るだけでなんとも切ない気分になってしまうのだが、値段が10倍違うとなると、まあしょうがないかなと思ってしまう。コーヒーショップに漂う豆の香りと白い蒸気、ふかふかのソファを恋しく思いながらも。


さて、あまり知られていない事実だが、約200年前、まだスペインがその影響を及ぼしていた頃、この国は世界トップクラス(世界4位)のコーヒー産出国だったという。ところがその50年後、この地域を襲ったサビ病が壊滅的な被害をもたらして以降、今では世界総生産の0.012%を占めるに過ぎない。


フィリピンにはFigaroという国内ブランドのコーヒーチェーンがある。
店の内装はなかなかシャレていて、価格帯もスターバックス並み。そして豆はもちろん全て国内産。自国ブランドを世界に発信しようと、ホテルやフィリピン航空などでも積極的に採用しているとのことだ。リベリカ種という世界でも珍しいこのコーヒーの特徴は、独特の風味と後に残る苦い味と一般にいわれている(正直なところ、わたし自身はイマイチ味の違いが分かっていないが。。。)


さて、フィガロの例のように、フィリピンコーヒーの再興を願う熱い想いは、確かに存在するが、一方、今のブラジルを中心とした圧倒的に低価格な世界の価格基準に対抗することは容易ではないのが現実のようだ。
また、かつての工業化の流れの中で、農地の価格が急騰したために土地を手放さなさざるをえなくなったコーヒー農家や、農地はなんとか維持できていても、機械化の波から取り残され、莫大な人件費に採算が合わなくなってきているコーヒー農家も多く存在する。更に、生産した豆を市場へ輸送するためのインフラ整備が遅れているなど、その前途多難な香りが漂う。


とはいえ、フィガロを始めとして、フィリピン国内の財団やNGO、行政もが力を入れ始めている今の動きには是非注目していきたいところ。


実は、わたしの通うAteneoキャンパスにも、フィガロの支店がある。
ふだん授業がある建物からは少し離れているため、あまり頻繁には訪れないが、時折、香り高いコーヒーがあまりに恋しくなった昼下がり、フィリピンコーヒー再興のためにと口実をつくりながら、いそいそと買いにきたりするのである。


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写真は、フィガロ@Ateneoキャンパス。