”forgiving people”
今回一緒に旅をしたフィリピン人のLarsとJonnaに、フィリピンにおける反日感情について聞いてみた。
以前、地元のマーケットでフィリピン人のお婆さんに「日本人ですか」と綺麗な日本語で話しかけられたとき、「どこで日本語を習ったんですか」と尋ねる勇気がなかったことが、ふと頭をよぎる。
第二次世界大戦では、マニラは壊滅的な被害を受け、多くの市民が犠牲となった。マニラ市内でも、その凄惨な当時の様子を伺える記念碑や、銃撃戦で殆どが破壊されながらも、わずかに原形を留めた歴史的建造物を見つけることができる。
彼らによれば、「『当時の世界情勢を見れば、日本は他の国(イギリスやアメリカ)と同じことをしていただけ』であり、今は経済的援助の意味においても、日本は大事な『パートナー』という認識の方が強いはずだ」とのこと。
そして何より、
"We'are forgiving people."なのだ、と。
"Past is past"なのだ、と。
"forgiving people"とは、なんと美しく、重たい言葉なのだろう。過去から目をそらすのでも過去を忘れるのでもなく、全てを理解し、受けいれた上で、それを「赦す」ということ。
日本における歴史教科書問題や、度重なる政治家達の不用意な発言、ワカモノ達の歴史への無関心。私たちは、彼らの寛容さに、ただ甘えていないだろうか、もう一度考えてみたい。
ところで、『歴史教科書問題』についてはLarsやJonnaも、やはり関心が高いらしく、控えめに「日本の学校では、あの戦争をどのように教育しているのか」と聞かれる。悪名高い歴史教科書を採用しているのは一部の学校に限られており、日本でもかなりの議論になったこと、少なくとも私の知っている限りにおいては、戦争を肯定的に捉えている人間は少ないはずだと伝えると、やや意外な様子だった。